体外受精にリスクはある?

体外受精は妊娠を望む人たちのための素晴らしい技術です。

しかし、体外受精を行うときのリスクについても知っておく必要があります。

この記事では、体外受精にはどのようなリスクがあるかわかりやすく解説していきます。

体外受精で考えられるリスクは5つ

体外受精によって起こるリスクは、5つ考えられます。

以下に詳しく解説します。

多胎妊娠のリスク

多胎妊娠は、一度の妊娠で双子や三つ子など複数の赤ちゃんを妊娠する状態です。

体外受精では、自然妊娠に比べて多胎妊娠の確率が高くなる傾向にあります。

これは複数の胚を移植することが一因ですが、単一の胚移植から一卵性双胎が生じることもあります。

多胎妊娠は、母体に妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの合併症を引き起こすリスクを高め、胎児には早産や低出生体重などのリスクをもたらします。

したがって、体外受精を進める際には、多胎妊娠の可能性とそれに伴うリスクを十分に理解しておきましょう。

移植する胚を1つにすることが、体外受精による多胎妊娠を防ぐ方法ですが、それにより妊娠確率が下がるという問題もあります。

多胎妊娠と妊娠率の問題があることも理解して、どのような方法で進めていくのか医師と相談して決める必要があります。

卵巣過剰刺激症候群 (OHSS)のリスク

体外受精において卵巣刺激を行う際には、排卵誘発剤が使用されることが一般的ですが、これには卵巣過剰刺激症候群(OHSS)という副作用のリスクが伴います。

卵巣過剰刺激症候群は、治療により卵巣が過剰に反応し、腫大する状態を指し、腹水や胸水の貯留などの症状を引き起こす可能性があります。

重症化すると、血栓症を起こすリスクもあり、深刻な健康問題につながることがあります。

卵巣過剰刺激症候群は、特に卵巣機能が良好な若年層や、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)のある女性に多く見られます。

排卵誘発剤の使用後、腹部が腫れたり、尿の量が減少したりするなどの症状が現れた場合はすぐに対処しなければなりません。

胚移植後の流産のリスク

体外受精によって妊娠した場合、自然妊娠と比べ、統計的に5%ほど流産のリスクが高い傾向があるとされています。

しかしながら、実際には直接の因果関係はないというのが多くの専門家の見解のようです。

では、なぜ統計で見た時に数値が高く出るのかというと、そもそも不妊に悩んでいる人は卵子や子宮などに問題を抱えている人もいるため、それが数字となって現れるのではないかといわれています。

特に母親の年齢が高いほど流産のリスクは高くなっていきます。

年齢が流産リスクに及ぼす影響は顕著で、特に35歳以上の女性ではその傾向が強まります。

例えば、厚生労働省の「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」での報告書によると、30歳未満の女性の流産率は約10%程度ですが、35歳を超えると約20%、40歳を超えると約40%と報告されています。

これは、年齢が上がるにつれて卵子の質が低下し、染色体異常のリスクが高まるためです。

体外受精では、選択的単一胚移植(eSET)などの技術を用いて健康な胚を選択することで、妊娠成功率を高め、流産リスクを低減しようとします。

しかし、選択された胚が健康であっても、母親の年齢や基礎となる健康状態など、他の要因が流産のリスクに影響を及ぼすことがあります。

先天性異常のリスク

体外受精によって生まれた子どもにおける先天性異常のリスクについては、研究により若干高いとされていますが、直接起因するものかどうかは、まだ完全には解明されていません。

不妊自体が先天性異常のリスクを高める要因の場合もあり、体外受精を受けるカップルは元々リスクが高い可能性があります。

しかしながら多くの場合、体外受精によって生まれた子どもは健康であり、重大な問題を抱えている割合は全体的に低いです。

体外受精による先天性異常のリスクに関する研究は進められています。

体外受精と先天性異常の関連については、今後さらなる研究による解明されることが期待されています。

子宮外妊娠のリスク

体外受精においても、子宮外妊娠のリスクは存在します。

子宮外妊娠とは、胚が子宮腔外、多くの場合は卵管内に着床することを指します。

この状態は、自然妊娠でも起こり得ますが、体外受精を行った場合もリスクが完全になくなるわけではありません。

体外受精において子宮腔内に胚を移植しても、卵管の問題がある場合には子宮外妊娠のリスクが存在します。

体外受精での子宮外妊娠の発生率は約1.5%から4.8%と報告されています。

これは自然妊娠における子宮外妊娠のリスクと比較して高いわけではありません。

しかしながら、体外受精を行う女性は卵管の問題を抱えていることも多いため、子宮外妊娠の可能性が高いのではないかといわれています。

子宮外妊娠のリスクを低減するために、体外受精の前に卵管の状態を調べることが重要です。

まとめ

体外受精には確かにリスクが伴いますが、多くの命が誕生していることも事実です。

治療にあたっては、リスクを理解し、可能な限り早期に挑戦することが望ましいでしょう。

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