体外受精のスケジュールは?一般的な例をご紹介

体外受精は、どのようにして進めていくことになるのか疑問に思っている方も少なくないでしょう。

体外受精の過程は複雑で、段階的なステップがあります。

この記事では体外受精のスケジュールに焦点を当て、基本となる進め方についてご紹介します。

妊活をする上で、体外受精を視野に入れている場合、安心して取り組めるように理解を深めていきましょう。

体外受精の流れ

体外受精は卵子を取り出す採卵、取り出した卵子を受精させ子宮に戻す胚移植を行うというのが大まかな流れです。

ここでは、これをもう少し細かく分けて8つのステップで解説していきます。

準備

体外受精を始めようと思ったときは、まずは医療機関で初診を受けることになります。

そのときに、今後どのように治療を進めていくのか、最適なプランなどを決めていきます。

初診の際は、できればパートナーと一緒に来院し、相談しながら進めていくことが望ましいでしょう。

卵巣刺激

卵巣刺激とは、卵子が入っている袋を育てることで、多くの卵子を成熟させることを目的とします。

卵巣刺激は、通常10~14日程度続き、この間に超音波検査や血液検査を行い、卵胞の成長をモニタリングします。

排卵誘発剤を使う回数によって、刺激周期や低刺激といった方法に分けられます。

ちなみに自然周期法や未成熟卵対外培養といった方法を用いるときは、この卵巣刺激は行いません。

採卵

卵巣刺激の開始から約12~15日後に採卵が行われます。

卵胞が十分に成熟していないなど、発育状況によってはこの時点で中止になることもあります。

採卵は、超音波を利用して卵巣の位置を確認しながら、採卵用の細い針を使って卵巣から卵子を体外に取り出す処置です。

この手術は静脈麻酔下で行われますが、採卵量が少なければ麻酔が行なわれないこともあります。

その場合でも、とても細い針で採卵されるためほとんど痛みを感じることはありません。

卵子の前培養

採卵した卵子は、無菌状態で顕微鏡下で検査され、成熟度に応じて分類されます。

未熟な卵子は成熟する可能性を高めるため、培養液に浸して数時間から一日程度培養されます。

卵子が適切な成熟度に達するまで環境条件を厳密に管理し、受精のための準備を整える重要なステップです。

媒精

卵子の準備が整ったあとは、元気な精子を選定し集めて卵子と合わせる培精を行います。

精子の提供者となるパートナーは、当日精液を採取し医療機関へと提出します。

男性から採取した精液は、不純物や非活性化精子を除去するために処理され、より元気な精子が選別されます。

選別された精子は、特殊な培養液で洗浄した上で濃縮されます。

培精によって、精子の質が向上し受精に適した状態になります。

受精・分割確認

授精と分割確認は、体外受精において重要な段階です。

精子と卵子が結合して受精が成功したかどうかを確認し、その後の胚の発育を観察することを目的としています。

受精確認では、精子と卵子を結合させた後、顕微鏡を使用して卵子内に精子の核が入ったことを確認します。

受精が成功していれば、卵子内に2つの原核(精子と卵子の核)が見られることから、受精卵が形成されていることがわかります。

受精が確認された後、受精卵を培養することで、細胞分裂を始めます。

分割確認は、胚が2細胞、4細胞、8細胞というように順調に分割していく様子を定期的に観察します。

胚移植

胚移植は体外受精の最終段階で、受精卵(胚)を女性の子宮に移植することです。

受精後、培養された胚は発育状況に応じて評価され、最も発育が良いとされた胚が移植に選ばれます。

移植前に、女性の子宮内膜が胚の着床に適した厚さになっていることを確認します。

このとき必要に応じて、ホルモン補充療法を用いて子宮内膜を整えることがあります。

選択された胚は、細長い針を用いて子宮内に慎重に移植されます。

妊娠検査

胚移植から約2週後に、着床したかどうかを確認するために妊娠検査が行われます。

妊娠確認は、一般的に血液検査での判定となります。

血中のヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)ホルモンのレベルを測定することで、妊娠が成立しているかを確認します。

まとめ

体外授精を進めるときは、今回ご紹介したようなスケジュールで進みます。

しかしながら、体外受精の方法をどうするのか、また医療機関によっても細かな違いはあります。

卵巣の状況によってさまざまなケースが考えられ、その通りに進まないこともよくあります。

パートナーや担当医とよく相談の上、無理のないスケジュールを組み進めていきましょう。